こんにちは!花と風景の画家、冬乃太陽です。
絵画作品を大切に保管するための箱(差し箱・保存箱)について、
このページで、画家が実際に使っている絵画保管箱の自作方法を詳しく解説します。
その中でも、絵画作品を保管するのに使う箱(差し箱)の作り方をご紹介します。

私は作品保管用の差し箱を自作しています。
絵画をご購入された方には、このような保管用差し箱に作品を入れます。その上から包装し、運送のための梱包をしてお届けします。差し箱はそのまま絵画の保管にお使いいただけます。
(作品は布の袋(黄袋がベストですが、私は綿布で自作)に入れて、差し箱に入れます)
差し箱は色々な作り方があるかと思いますが、なるべくシンプルに作っています。
参考になれば幸いです!
絵画を入れる箱とは?種類
絵画を保管するための箱には、いくつかの種類があります。
作品の大きさや保管期間、予算に合わせて選びましょう。
差し箱(さしばこ)
本記事で作り方を紹介している、蓋が差し込み式になっている箱です。 作品の出し入れがしやすく、個人の画家やギャラリーで最もよく使われる保管方法です。 段ボール製なので軽く、積み重ねても収納しやすいのが特徴です。
タトウ箱(布貼り箱)
高級な布や和紙を貼った保存箱で、重要な作品や高額な作品の長期保管に適しています。 美術館や画廊でも使用される本格的な保管方法ですが、制作には専門的な技術が必要です。
絵画を箱に入れる前の準備
作品を箱に入れる前に、以下の準備をしておくことで、より良い状態で保管できます。
作品の清掃
柔らかい布やハケで、表面のホコリを優しく払い落としましょう。 油絵の場合は、完全に乾燥していることを確認してください。
布袋(黄袋)に入れる
作品を直接箱に入れるのではなく、通気性のある布袋に包んでから箱に収納します。 黄袋(きぶくろ・ウコン染めの布袋)は防虫効果があり、美術品の保管に最適ですが、入手が難しい場合は綿や麻の布で代用できます。 ビニール袋は湿気がこもるため絶対に避けてください。
サイズの確認
箱を作る前に、作品のサイズ(縦・横・厚み)を正確に測りましょう。 箱付きでない額で額装している場合は、額のサイズで測ります。 作品が箱の中で動かないよう、適度なゆとりを持たせることが重要です。
材料

板ダンボール(強化タイプの5ミリを使っています)
水張りテープ(茶色)
文化鋲2個(たこ糸、ポリワッシャー付き)
※ネットで購入できます。分からない方、お急ぎの方はご連絡ください。手持ちをお譲りします。
木工用ボンド
道具
鉛筆と消しゴム
カッターナイフ、カッターマット
三角定規、直定規
金づち
ハサミ
釘1本(太すぎないもの)
マスキングテープ
水に濡らした布またはキッチンペーパーなど
手順
1 展開図を引く
2 ダンボールを切る
3 ダンボールを折る
4 文化鋲を取り付ける
6 箱を組み立てる。
7 水張りテープを貼って完成!
画像と共に解説します。
1 展開図を引く

箱は展開図を描いて、折って作ります。パーツごとに切り分けて組み立てるよりも折って作る方がダンボールの強度があるからです。
まずは展開図の寸法を考えます。展開図の形は画像から。各寸法は、作品の長さ+2cmを目安に調節してください。(ダンボールの厚みは5ミリのものを使用しています。)
作品を入れるのに大きすぎず小さすぎず、取り出しやすい、ちょうど良い大きさになるようにします。
ダンボールに作図します。三角定規などで直角を取ってください。ズレると箱が歪むので注意です。

2 ダンボールを切る

作図をしたら、カッターナイフで切り出します。一気に切ろうとせず何度も刃を入れて切るのが綺麗に切るコツです。最初は薄皮一枚切るように刃を入れる。次に上一枚、中、下一枚切るように何度も刃を入れます。(スチレンボードなど厚みのあるものをカッターで切るときも同樣です。断面がダマにならず美しいです。)

3 ダンボールを折る

折るところにカッターで切り込みを入れて折りやすくします。(1ミリ程度切るようなイメージです。)
切ったところを内側にして折ります。(定規を当てて折るのが綺麗に折るコツです)

4 文化鋲(割りピン)を取り付ける

組み立てる前に、蓋を閉じるためのパーツ、文化鋲を取り付けます。
文化鋲は箱側と蓋側と2箇所に取り付けますが、先に箱側から取り付け、組み立て後に蓋側にも取り付けます。この手順の方が文化鋲の位置を合わせやすいです。(ずれにくいので仕上がりの見栄えがいいです)
文化鋲はタコ糸、ポリワッシャー付きのものを用意します。箱側に文化鋲+タコ糸、蓋側に文化鋲+ポリワッシャーで取り付けます。

取り付ける位置について
画像のように箱の中心、端から1.5センチくらいの場所につけます(水張りテープを貼ったときに被らないように注意)
取り付け方
下穴を開けて、外側から文化鋲(タコ糸付き)を刺します。


そして金づちで先をコンコンと叩いて開かせて固定します。開いたら、上から水張りテープを貼って隠して仕上げます。



(金具に指や作品が当たって傷がつかないように)

6 箱を組み立てる。

箱を折って組み立てていきます。ダンボールの厚みをどうするか?
もともと最初の展開図が厚みを考慮しない(接着するときに端がどちらが上に来るかなど考えない)図面になっています。(なるべく数字を考えずシンプルに作りたいのでそうしています)
このまま端っこをどちらか上にすると箱が歪みます。歪まずにまっすぐ組み立てるには、ダンボールの端を少し潰して平たくして(私個人のやり方です。ダンボールの厚みの分を指でつまんで、少し潰します。嫌な方は展開図を引く時にダンボールの厚みを考慮して寸法を決めてください。)
ぴったり角を合わせて木工用ボンドで接着。マスキングテープで固定して接着が乾くまで待ちます。

乾いたら、蓋側に文化鋲(ポリワッシャー付き)を取り付けます。箱側と蓋側が真っすぐ合うように位置を取って取り付けます。取り付けたらタコ糸でくるくると巻いて蓋を閉じてみる。長すぎるタコ糸は適当な長さにカットしておきます。

7 水張りテープを貼って完成!

ボンドが乾いたら、水張りテープを角や小口に貼ります。水張りテープは片面が糊になっていて、水で濡らすと糊になる紙テープです。ハサミで切ってください。仕上がりが綺麗です。(水張りテープは画材屋さんで購入できます。ダンボールになじむ茶色を使います。)
あらかじめ必要な長さに切り出して、糊面を濡らしたキッチンペーパーなどで濡らします。(糊面はベタつくので注意)この時テープがシワにならないように気をつけて貼ります。(水張りテープは貼り直しが難しいので一回で決めます)

テープを貼り終えたら、完成です!お疲れ様でした!!

私が過去の箱作りで失敗したポイント↓
展開図の寸法間違いで作品が入らなかった。
組み立てる前に箱側の文化鋲を叩き忘れた。凧糸つけるの忘れた。
二つの文化鋲の位置が真っ直ぐにならずにズレた。
文化鋲の位置が端すぎて、水張りテープに被ってしまう。
水張りテープの水が少なすぎて、乾いたテープが剥がれてきた。
ぜひ気をつけて作ってください。
差し箱での絵画保管方法と注意点
せっかく作った箱も、保管方法を間違えると作品を傷めてしまいます。
保管に適した場所 :直射日光が当たらない場所。日光による退色を防ぎます。
湿度50〜60%程度:湿気が多すぎるとカビ、少なすぎるとヒビの原因に・・。
温度18〜20度が理想:急激な温度変化を避けてください。
風通しの良い場所**:押入れやクローゼットは湿気がこもりやすいので注意 ###
箱の置き方 :作品は縦に立てた状態での保管がおすすめです。平積みにすると、下の作品に重みがかかり変形やダメージの原因になります。
定期的なメンテナンス :3〜6ヶ月に一度は箱から取り出し、風を通しましょう。 カビや虫食いがないかチェックし、布袋も同時に点検します。 長期間密閉したままにしておくのはあまりお勧めしません。
輸送時の注意:作品を送る際は、差し箱の上からさらに梱包材(プチプチなど)で包み、 段ボール箱に入れて輸送します。差し箱だけでは輸送中の衝撃に耐えられません。 「割れ物注意」「天地無用」のシールがあれば、貼りましょう。なければ、手書きでも大丈夫です。
それでは!
